妄想族

或る日われ道歩きゐれば埃立ちがらがらと遠き街くづれたり  前川佐美雄[『大和』昭和15年]




ちょりっと調べものついでに、関西歌人“鬼才の源流”なる前川佐美雄の項を眺めて、つくづく「生きかね」る世に生きていたのだなぁと嘆息しそうになった。家族を詠んだものに少しは安らぎを感じるものの、獣を詠んでも風景を詠んでも「さびしい」「かなしい」が付いてまわる。
寺山修司に出会わなければ、ひょっとして彼にのめり込んでたのかも知れない、それぐらい彼もまた「妄想族」のひとりだったのだ。

数多ある幻想歌の中で、珍しく自身を巨大化した(ように見える)のが上記。何となく「大魔神」めいて、しかし歌集発行年を見れば、別の巨大なものが自身に迫って来る恐怖を覚える。

喬木の上にゐるのは野がらすか白痴のわれか霜降れば鳴けり[同]

するなと言われてもやはり、ポー「大鴉」を連想してしまい、「大鴉」といえばアラン・パーソンズ・プロジェクトなのだけど… “Never More” ★
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by tanka_meitey | 2009-10-01 23:07 | 喫歌室