水曇る 安永蕗子

何ものの声到るとも思はぬに星に向き北に向き耳冴ゆる

つきぬけて虚しき空と思ふとき燃え殻のごとき雪が落ちくる

水曇る夕べの峯にひしひしと人が劫
(カルパ)のごとき石積む

風おちて鈍き海波ゆられつつ終末海を鳥がついばむ   
『魚愁』昭和37年

いづくかに水をついばむ嘴(はし)の音一尾呑まれてゐる水の音  『閑吟の柳』昭和63年


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by tanka_meitey | 2012-03-17 22:40 | 喫歌室