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題詠2009詠草・上

本年も有難うございました。本人が思っている以上に様々な環境で閲覧されてる方々にも、なるべくご覧になれますよう、本年分を半分づつ分けて100首掲載致します。
但し!コレは投稿後に推敲したものも含む清書なので、イベント会場にあるものとは一部異なります。とはいえ、「てにをは」や文語文法の正誤ぐらいで、ごっそり書き替えたりはしていない(と思うけど(汗!)ので、どうぞご安心(?)を…★では、上下50首づつでお楽しみ下さいませm(_"_)m

★001から050まではこちらからどうぞ★




001:笑 [20,Mar]
真後ろに暴悪大笑面隠し慈悲と憤怒を示す観音

002:一日 [20,Mar]
春一日(ひとひ)夜と昼とを均等に地軸傾げる蒼き惑星

003:助 [21,Mar]
取り返しつかぬ刹那を喩うれば補助ロケットを切り離すとき

004:ひだまり [21,Mar]
彼岸にもひだまり父祖ら集えるを気象衛星ひまわりは見つ

005:調 [22,Mar]
馬たちも里子となりぬ春を待たず老調教師急逝ののち

006:水玉 [22,Mar]
女(おみな)らは些細な癖も見落とさぬかつて首長の水玉ネクタイ

007:ランチ [22,Mar]
おランチにお誘い申したきマダム…さても六条御息所?

008:飾 [23,Mar]
悲恋なる御身なれどもそれ故に金色(こんじき)に飾れる鱗紋

009:ふわふわ [23,Mar]
「ぷかぷか」の世代は遠しオレ達はケサランパサランふわふわ世代

010:街 [23,Mar]
派遣切り、銭ゲバ、ネタに事欠かず街頭演説せる老斗士

011:嫉妬 [29,Mar]
おみなごの嫉妬なつかし山姥の疾(と)うに心は石となりけり

012:達 [01,Apr]
中原は広大なりき四月馬鹿「死せる仲達を走らせよ」

013:カタカナ [01,Apr]
これもまた園芸種かとキャプションをカタカナに書き替える花々

014:煮 [02,Apr]
氷菓(ソルベ)さえ煮沸消毒せられたり貴人ら御用なる食堂車

015:型 [04,Apr]
新型のヴァンツァー欲しさそれ故にコンビニ強盗する老兵士

016:Uターン [04,Apr]
今更にUターンなぞ出来るまい海賊退治に「アムロ征(い)きます!」

017:解 [05,Apr]
投じられし白球、天に舞う刹那。打者よ、それこそ解と知るべし。

018:格差 [05,Apr]
「格差とは天使世界のヒエラルキー」こめかみに青筋のガブリエル

019:ノート [06,Apr]
肌黒きプレジデントの誕生はブルーノートが廃れたるのち

020:貧 [06,Apr]
ヴァンパイア今日も貧血 春の陽にどちら向いてもさくらさくら

021:くちばし [08,Apr]
くちばしを挟むではない、吾(あ)と汝(なれ)の闇の契りに犬歯を立てつ

022:職 [08,Apr]
職員は未だ昼食 日溜まりの職業安定所 影法師

023:シャツ [08,Apr]
おろしたてのワイシャツ 襟を正せるも裾にユリ科の錆色の染み

024:天ぷら [09,Apr]
大食いの処女(おとめ)相席せる宵は心臓の天ぷらを所望す

025:氷 [09,Apr]
暑いのは苦手か汝(うぬ)ら?案ずるな、大氷河期がそれ其処にまで…

026:コンビニ [10,Apr]
灰汁抜きも下茹でもせで喰らう如そそぐ愛すらコンビニエンス

027:既 [10,Apr]
夕されを待ちかねながら彷徨す廃墟、モノクロ、また『既視の街』

028:透明 [10,Apr]
文法は透明ならず 六月の木苺宿は苔むして在り

029:くしゃくしゃ [10,Apr]
くしゃくしゃの金の巻毛に指を絡め愛づる…振りだけは上達す

030:牛 [10,Apr]
鈍牛と呼ばれて久し今更に金牛星人とも言えず

031:てっぺん [11,Apr]
何故にその酷き名と見てみればアフリカハゲコウのてっぺん

032:世界 [13,Apr]
世界とは緑濃きラフ 未青年ゴルファー魅了されつつロスト

033:冠 [13,Apr]
名残なる花冠を戴くは父母の血にひらく真処女(まおとめ)

034:序 [18,Apr]
敵地へと亡命したき心地にて 序盤大量失点投手

035:ロンドン [18,Apr]
ロンドンと書けばたちまち血の色の塔・橋・PUNK・切り裂きジャック

036:意図 [18,Apr]
明確な意図なき句点打つ度に液化せるピアノには凭(よ)れず

037:藤 [20,Apr]
葛(かずら)なと藤なと問わず蜂どちはうすむらさきの花房を愛ず

038:→ [20,Apr]
其処よりは冥界と識れ 葉桜の蔭に「→」(こちら)と鉤爪の痕

039:広 [25,Apr]
広島の新球場の青芝に足を取らるるカープや哀れ

040:すみれ [25,Apr]
髪長くすみれに匂う色白の男子(おのこ)は村の新米狩人(ハンター)

041:越 [27,Apr]
軽々とウィルス越境しつつあり 二十一世紀の黒死病

042:クリック [27,Apr]
その「More…」を読むか止そうか異界への扉をノックすべくクリック

043:係 [27,Apr]
Wellcome!此処が異界の入口と係員めくパスワード欄

044:わさび [29,Apr]
新緑の匂い地上に充つる頃パセリの立木わさびの庭木

045:幕 [29,Apr]
薔薇苑に集う閑人夫々の幕の内弁当にも葉蘭(バラン)

046:常識 [30,Apr]
ウィルスの進化ぞまぢか人類の常識範疇のいや狭し

047:警 [02,May]
交番の仮眠室にて睦み合う警察学校中退同士

048:逢 [02,May]
逢坂の関は知らねどわれかれの別れぞ常の旅路なりける

049:ソムリエ [03,May]
わが生れ年のワイン所望せしがソムリエ戻らずに店仕舞

050:災 [06,May]
「何故のマスク姿ぞ」災いは口より出でて口に入るなり

(C)《冥亭倶楽部》the snow-ball planet[20, Mar.〜28, Aug. 2009]

by tanka_meitey | 2009-12-20 13:57 | 題詠2009