人間合格

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遅筆堂・井上ひさしの訃報。明石家さんまが出て来るまでは、彼と平和ラッパが「出っ歯」の代名詞。案外と作品とは縁があった。




冷戦下の『吉里吉里人』はオチが弱かったが、今から思えばあの時代だから、あの程度で無理もないか…丁度、人生最初の失業時で、読んでは枕にして昼寝、の日々であった。
その後、別役実&朝倉喬司コンビによる“劇場型犯罪の読み取り”シリーズにハマった余波で、ひさし先生の古今東西珍犯罪を編した本(生憎手元にはない…段ボール箱の底だな、未だ)も繰り返し読んだ。

TVでは『ひょっこりひょうたん島』『ムーミン』はリアルタイム、NHK単発ドラマの『國語元年』は、確か売れっ子になってからの川谷拓三が主人公。時は御維新。長州藩出身の彼は新政府の求めに応じて、日本初の「標準語」を創るべく、現代の我々には想像もつかないであろう苦労を重ねる。
自身は長州=今の山口県。ここは本州最西端にも拘らず、訛りの少ないキレイな言葉だと言われている。それが、妻をはじめ女中や下男の出身地の違い、ご近所の奥様方の江戸言葉にも下町と山の手では天地ほどの差もあり、盗人まで巻き込んで、てんやわんやの「国語」の物語。
元々、大阪でもガラ悪い地域に生れ育ったわたくしには、彼の苦労がよ〜〜〜く分かるもんで、面白く見ていた記憶がある。出来れば再放送して欲しいけど…VTRテープ時代だから無理か、な?

そして「遅筆堂」の名を世に知らしめた芝居。
太宰治の学生時代に焦点を当てた『人間合格』には、演劇好きの同級生に誘われて二度も行った。同じ演目(しかもリメイクでも役者交代もなく)で複数回観に行ったのは、これが最初で最後かも…
理想は高いがどうにもダメダメな(今謂うところの「草食系男子」の走りかもよ)太宰=風間杜夫と、東京の大学に入ったは良いがどうやらロクに勉学もしとらんというのでお目付役に派遣されてる叔父=すまけい。
これがね〜、すまけいの理屈なき純朴ナショナリストぶりがサイコーで、何かにつけ言祝ぎの歌=しかもアドリブ!を唄うのだ♪ もぉ、風間ちゃんなんか放ったらかしのバカ受け(^^;)
あと、『頭痛肩凝り樋口一葉』はTVで観たけど、これも面白かった。
糊口をしのぐ為に小説原稿を書き続ける一葉の家に、毎年お盆の度に身内の霊がひとりふたりと殖えて出て来るのだけれど、生憎霊感はないらしく、頭痛のアタマを抱えながら無関心★

・・・さまざまのこと思い出す桜かな。丸眼鏡、ゲジ眉毛、出っ歯。煙草のヤニ臭そな「日本語の良心」朴訥先生、さようなら★

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by tanka_meitey | 2010-04-12 19:19 | ひとりごつ